Lute side Scenario
合図の残響は、激しく衝突する金属音に掻き消された!
空間を斬り裂く剣閃の嵐が鍛練場に吹き荒ぶ。
その風、あまりに壮絶。あまりに苛烈。
文字通りの、真剣勝負。
だが、嵐の中心にいる二人──俺とレガートは、互いにまだ小手調べといったところ。
特にレガートは、その端正な顔に氷の如く冷たくも美しい微笑を浮かべていた。
しなやかに繰り出される剣裁きは宙に舞う粉雪の如くひらひらと掴みどころがなく、軽やかに翻る体裁きはステップを踏んでいるかのように優雅で無駄がない。
それはさながら、
鳴り響く剣戟すら、彼の前では拍子を刻む音色に感じられる。時折刃に白銀の髪が映り、その光が一層動きに優美さを際立たせていた。
──美しい銀の剣舞。
対するは、唸る豪風の如き猛々しさをもって銀の光を薙ぎ払い、
──荒々しい金の剣舞。
(中略)
金と銀の光が激しく衝突した直後、一端距離を取った。嵐が止み、静寂が広がる。
互いに息一つ乱していない。そんな静けさの中で、今度は鋭い眼光をぶつけて無言の闘いを繰り広げた。
リュート
(これほどとはな……)
眼光をゆるめぬまま、小さく感嘆の息を漏らす。
隊長候補だったと聞いてはいたが、そんな程度で収まる強さではないだろう。団長・副団長クラスの腕だ。
自分が負けているとは思わない。だが、実力伯仲した者に出会ったのは、入団試験で手合わせたフェンネルと、このレガートで二人目だった。
レガート
「……君になら、本気を出しても大丈夫そうだ」
氷の微笑が沈黙を破った。
それに俺も薄く笑う。
リュート
「こっちの台詞だ」
レガート
「なら……遠慮はしない!」
氷の笑みは融け、瞳に冷徹な光が瞬いた。
Continuation : in the game.